ショヒョーリン2「フォントのふしぎ」

また書評を書いてみます。今回は「フォントのふしぎ」です。

4568504287 フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
小林章
美術出版社 2011-01-17
 

by G-Tools

日本には文字を美しく見せる技術・文化として筆文字の「書道」が発展してきた。さまざまな書体が生み出されて、時に整えたり崩したりでいかに美しく文字を見せるかという文化が磨かれていった。欧米でも似たような文化があって、これはカリグラフィーや、印刷物の活字を美しく見せるタイポグラフィーと呼ばれる。体系は異なるものの、2000年以上も前から人類は「文字をいかに美しく、見やすく表現するか」というテーマに挑戦してきたわけだ。

たまに外国人に漢字の書き方を教えるんだけど、彼らは書き順がめちゃくちゃだ。基本的な背景が違うので絵として漢字をとらえている。例えば「田」などは、外側をまずぐるっと一周するとか普通にやってくる。そういう時には私は「書き順は守ったほうがいいよ」と云う。彼らに言わせれば「別に順番とかどうでもいいじゃん。書きやすいやり方で書けば」みたいなことを言うんだけど、そういう時には「あまったれんな!」「日本語ナメるな!」「This ain’t your country!」とか言う。書き順ってのは、たぶん、日本語を美しく見せるための先人達が積み上げた技術体系であって、確かに彼らの言い分もわかるんだけど、学習者は謙虚であれって持論があるので、まずはルールを守ってください。実際、書き順守ったほうが字がキレイだ。

有名な長州力と橋本真也の口喧嘩「コラコラ問答」がある。いい大人がカメラの前で口喧嘩して、お互いに語彙が少ないので「コラ!」しか言ってないという謎の動画だ。この中で長州さん(1:00ぐらい)が、約束をした橋本に「フォントだぞ? フォントだぞ?」と言っている。まさか長州もフォント好きだったとは意外だ。身近なところにフォントは溢れているなぁと思った。(本当に言っているので聞いてください)

「フォントのふしぎ」小林章著は、街角にあふれるフォントを写真で収録して、それにコラムをひっつけたフォント写真集みたいな感じの本だ。扱っているのは欧米のフォントのみ。これも鯖無さんに貸してもらったんだけど(ばばあ、いい本持ってるな!)さすがにこんな本を買う人って限られているんじゃないだろうか。コラムがあって読み物として楽しめる本だけど、普通の人はそこまでフォントを気にしてないのかもしれない。私も少なからず「フォントがダサい、かっこいい」って感覚はあるけど、こういう感覚があまりない人がいるのも事実だ。


こんな感じで、同じ「ゴシック体」に分類される書体であっても、微妙に違う。日本では「モリサワ」というメーカーのフォントが有名でデザイン関係のプロでもけっこう使っている人を見かける。モリサワのフォントはキレイだと私も思う。そのかわり値段が馬鹿高い…。

ダイナフォントは安くて、ちょっと変わった書体をパッケージでリリースしている。パソコンショップとかでも普通に置いている。

マイクロソフトのMSゴシックは前からダサいなぁと思っていたけど、こうやって並べてみるとそんな悪くはないのかなと思った。前に紹介したアップルのスティーブジョブスの講演で彼は学生時代のカリグラフィーの授業のことを話していた。

リード大学には、当時おそらく国内でも最高のカリグラフィ教育がありました。見渡せばキャンパスにはポスターから戸棚に貼るラベルまで美しい手書きのカリグラフィばかりだったのです。私は退学したのですから普通の授業はとる必要もないのでカリグラフィの授業を受けて手法を学ぶことにしたのです。私はそこでセリフやサンセリフの書体について習ったり文字と文字のスペースを変えていく概念についてつまり異なる文字のコンビネーション手法など素晴らしいフォントの作り方を学問として学びました。フォントは、美しく、歴史的にも、芸術的にも、科学で把握できないほどの緻密さでしたのでそれは私にとって魅力的な発見となったのです。

この中で紹介されている「セリフ」とは、日本の明朝体もそうだけど文字の頭(赤い部分)に見られるように、ぴょろっとしたヒゲがついている部分のことだ。これがない書体をサンセリフという。どっちがいいという問題ではなくって、場面に合わせて使えよってことだと思う。日本でも「明朝/ゴシック」が大きな分類だけど、固い雰囲気なら明朝、柔らかくするならゴシックって感じで使い分ける(私は少なくとも)

もう1つは「プロポーショナルフォント」と呼ばれる分類で、「MS P ゴシック」などフォント名に「P」の文字が入っている場合がおおい。これは文字と文字の間隔を調整したものだ。

例えば「i」と「W」では明らかに横幅が違う。昔はこれを同じ1文字として、同じ横幅のサイズで扱っていた(パソコンスペックの制約もあったらしい)けど、こういった個々の文字同士の幅を調整したものがプロポーショナルフォントだ。 マッキントッシュは初代からこのプロポーショナルフォントを搭載していたってのは、ジョブスならではのこだわりだろう。こういやってMSゴシック見ると、本当にださいですね。

私が好んで使うフォントは、無料の「Fusi」と呼ばれているやつ。どういった歴史で誰が作ったのかは知りませんが、月刊ネットマージャンや天鳳のイベント広告などにも使われているので、FUSIのフォントがあれば「ああ、音無さん作ったんだな」って思ってください。丸みがあって、柔らかいんだけどスタイリッシュな感じもするので、「i」と「j」の区別がつきにくいという不満はあるけど、私は気に入っている。がちっとしたのでは、有名なArialなんかも好きで使っている。

a quick brown fox jumps over the lazy dog. はパングラムって呼ばれる言葉遊びで日本の「いろはにほへと」だ。全部の文字を使ってちゃんと意味の通る文章にする。例文としてよく見かける。

そういった感じで、こういうフォントの基礎をふまえた上で、本を読んでみると面白いかもしれない。特にブランドのロゴ(ルイヴィトンやゴディバ)とか、わりと考えぬかれてあの書体になっている印象を受けた。何気なく街に溢れる文字に対して、敏感になっていくかもしれない。全員読んでくださいとは思わないけど、興味ある人はいかがでしょうか!!

4568504287 フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
小林章
美術出版社 2011-01-17
 

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