「負けない技術」のショヒョーリン

簡単な書評を書きます。かの桜井章一さんの「負けない技術」を読みました。桜井章一の全盛期を私は知らない。名前だけは知っていたけど、どういった考えでどんな麻雀を打つのかはうっすら知っていたという程度だ。著書もまともに読んだことがなかった。だから、おそらくネット麻雀よりの人が感じる「うさんくさい人」「メディアによって作られた人」という意見に理解は示せる。と同時に、桜井さんを尊敬する人や一定の功績を見出している人々にもまた共感できる部分も多い。

「20年間無敗」というコピーが、ある程度メディアによって作られた部分があるんだろうけど、同時に桜井さん本人が持っていた天性の才能や表現力もまたあったんだろうと思うわけだ。それは文章を読んでいたら理解できるし、本当にまがいものの人物ならばこれほど多くの 人を結果的に惹きつけることもなかったと思う。

アントニオ猪木や力道山にも似たような感想を抱く。彼らは「テレビ」という成長媒体によって支えられテレビ、雑誌というメディアに多分に誇張・強調された側面があるにせよ、同時に本人が持っていた才能もまたあったんだろうと。全盛期のアントニオ猪木はホウキ相手でも名勝負が作れると言われていたらしい。プロレス、人を引きつけるという分野に関しては大きな才能があったんだろう。本人のポテンシャル、時期、メディア環境など要因が重なった時に、ヒーローは生まれるのではないか。桜井さんは麻雀メディアに輝く稀有な存在なのだろう(恵まれていた、といえばそうかもしれない)そして、今後そんな人は現れないのだろうかと思う。

負けない技術を読んだ印象は「精神的な護身術」といった内容だった。書いてあることの信ぴょう性はおいておくけど、言わんとしていることはわかる。

聞きかじった知識で申し訳ないけど、合気道の塩田剛三は護身の極意は「自分を殺しにきた相手と友達になること」だと言っていたように思う。 古くは孫子の兵法にも「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」みたいなことが書いてあるけど、まさにこんな感じだろう。戦わずに勝つこと、争いを避けて目的を達することが最善の策であって、桜井さんが「勝つための技術」ではなく「負けない技術」といっている点も、これに通じる部分があるように感じた。

ネットの論争もそうだし、リアルでの交渉事もそうかもしれない。交渉事の場合、自分の要求が10あれば、10通ることはまれだ。仮に10通ったしても、それは相手の要求を潰しこむことになりかねない。不必要な摩擦や軋轢をまねき、恨みを買う。交渉事で決裂した場合、「落とし所」を探るという作業に入る。相手が大人の交渉相手であれば、この合意が無意識にできている。All or Nothing でお互いに求めて交渉が決裂すれば、お互いに損をする。その場で関係が途切れる。だから、双方の合意点を探る。

自分の要求を通して10対0で勝った場合、結果的に完勝に見える。だけども長期的にはその相手から600対400ぐらいの関係が築けたかもしれない。600の自分に利することがあっても、結果的に10しか手に入っていない。短期決戦では勝っているかもしれないけど、甚大な機会損失を招いている可能性だってあるわけだ。

もちろん相手の言うことに納得できないこともあるし、自分の信念を曲げたくないことだってあるかもしれない。福本伸行のアカギで、サイコロ博奕の出た目でアカギは命を落としそうになった場面があった。確かにアカギに非はない。しかし、あの博奕で命を落としていたら結果的にヘタだったのだろうと思う。正論が通じない相手もいれば、自分が感情的にもなる場合もある。世の中はわりと理不尽だ。納得できないことや、腹立たしいことは多い。たとえ自分が何1つ間違っていなくてもだ。こういう場合、うまい交渉は「相手のメンツを立てる」ってことをしながら、自分が得をする7:3か6:4ぐらいの場所に「落とし所」を見つける。アカギのような考えを貫き通すのは理想だし、カッコイイとは思うけど、現実にそれをするとちょっとトラブルを招く要因になるだろうとは思う。ああいうのは漫画の中か、歴史に残る偉人がすることであって、普通の人はやっちゃいけないたぐいのことだろうと私は思う。

殴り合いになってもかまわないなんて本当に下の下だろうと理解できる。ダメなんだろう。だからこそ、自分が間違ってなかった時に信念を貫き通したいとか、意地を貼り通したいって気持ちもわかる。間違っていた時に謝れる覚悟や、大人の決着を求めて妥協することは、自分の信念や意地を貫き通すことよりも、場合によっては難しいこともあるように思う。

ブロガーにとって自分の意志で公開した記事を削除するってのは、けっこう大きなことだ。謝罪文を載せるってのと同レベルぐらいかも。閉鎖するってのは私の中ではランクが低くて、削除する方が上だ。削除するとその後も続けないといけないし、謝罪文をのせてもその後も継続しないといけない。

と書いてて、ややこしくなったので、ブログの話はまた今度書く!

Responses are currently closed, but you can trackback from your own site.
Powered by WordPress | Designed by: Download Premium WordPress Themes | Thanks to Compare Best WordPress Themes, best wordpress themes and Free WordPress Themes